Greater_Alexander_main 2012年にアメリカで発表され、このたびプロダクション・デシネから日本国内仕様でリリースされた一枚の名盤を紹介したい。グレーター・アレクサンダーの『ポジティヴ・ラヴ』。数ヶ月前にふとしたきっかけでこの作品に出逢い、僕はそれ以来ずっと虜になっている。

グレーター・アレクサンダーはニューヨーク州出身のシンガー・ソングライター。このデビュー作は、アコースティック・ギターを中心としたナチュラルでフォーキーなサウンドと、親しみ易いポップな旋律が魅力の一枚だ。60年代後半から70年代にかけてのアメリカンポップスが携えていた素朴と洗練。それら両方のエッセンスがバランス良く散りばめられており、幼い頃に両親の影響でサイモン&ガーファンクル等を聴いていたというのも頷ける。とにかくメロディセンスが抜群で、かつバラエティに富んだ楽曲が並んでいて、最初から最後までどの曲も本当に素晴らしい。

幼少期は祖国ギリシャで過ごしたアレクサンダーにとって、本作を作り上げるのはとても長い道のりだったそうだ。アメリカに戻り、大学卒業後も30以上の職を経験したという。そんな彼の歌から伝わってくるのは、様々な環境に身を置いた者が持ち得るしなやかに生き抜く強さ、そして出会った人々に対する確かな愛情だ。本作はまさにたくさんの《ポジティヴ・ラヴ》に満ち溢れた作品といえる。

ところで、『ポジティヴ・ラヴ』を聴いて頭に浮かんだアルバムが一枚ある。それは、ゾンビーズのボーカリスト、コリン・ブランストーンが1971年に発表した『一年間』だ。澄んだ歌声と、虚ろで内省的な佇まい。遠い昔の記憶を呼び覚ますような蒼くセンチメンタルなメロディ。アルバムジャケットのモノトーンな質感とは対照的に、彩り豊かに奏でられるアンサンブル。時代を越えて愛される名作と同じ匂いを、僕は『ポジティヴ・ラヴ』に感じている。

今回、日本国内盤リリースにあたって、CDに付属するライナーノーツを執筆させて頂いた。加えて、プロダクション・デシネのウェブサイトにおいて、アレクサンダー本人へのインタビューを行った。本作並びに彼の魅力をさらに掘り下げた内容になっているので、どちらも併せて読んで頂ければ幸いだ。
- RePublik:  河津継人

Greater Alexander インタビュー記事 : こちら
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greater_jacket1 Greater Alexander – “Positive Love”
PDCD-148  (2014年 11月)
2,300 yen + tax
Released by production dessinee

Track listing : (全曲試聴可能)
01. Any Way Out Of It
02. Positive Love
03. Baby Steps
04. Spinning
05. Better Days
06. Feel Of Summer
07. Chances
08. Everlasting
09. Let It Be Me
10. Oh You
11. Negative Fears
12. In The Stillness Of Water
13. Lay The Pieces (Bonus Track、国内盤のみ)
14. Won a Little Piece of My Heart (Bonus Track、国内盤のみ)