OLYMPUS DIGITAL CAMERA 身体の芯まで濡らしてしまうようにしぐれ降る雨の中、庭にあじさいのつぼみがほころぶ公演会場の papparayray は、立ち見がでるほど超満員の観客で埋まりました。

フォルクローレをベースにしながらとても都会的で洗練されたギジェルモの美しいソロ・ギター。まだ見ぬパラナ河の雄大な流れやパンパの乾燥した草原の風景に想いをはせ、一曲の中で胸がかきたてられる思いと心が安らぐパートがスリリングに展開される演奏に、詰めかけた聴衆は一曲目から静かに熱いものを感じたことでしょう。前述のように、あいにくの雨模様だったのですが、屋根や庭を打つ雨の音さえギジェルモの演奏を引き立て、心地よく感じられ、通常のコンサートホールでは味わえないハプニングだったように思えます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ヨーロッパや北米から来日した弦楽器のアーティストは、日本の湿度が高い気候のために楽器のコンディションや響きが違ってしまうことに往々にして戸惑い、アジャストするのに時間がかかるものです。その点をギジェルモに尋ねると「ぼくが生まれ育ったロサリオは、パラナ河のほとりで、とても湿度が高いんだ。この気候にとても慣れてるので何の問題もないよ。」という答え。実際にリハーサルのときから豊かで澄みきったギターが会場内に生音だけで響き渡りました。本番中に雨音さえ心地よくバックに聴こえた理由もうなずけます。

思いがけず、公演終盤には弾き語りの曲 “Canción del Jangadero” を披露。”Canción” は歌。そして”Jangadero”とは、パラナ河の上流で伐り出された丸太をつなぎ合わせ巨大なイカダを造り、それをいくつもつなげ下流へ木材を運ぶ危険な仕事に従事する労働者のこと。かれらのことを歌った曲は郷愁感にあふれ、私たちの目を潤ませるには十分でした。この弾き語りの曲は、前日の東京公演と翌日の熊本公演では演奏されず、福岡の聴衆には希少なプレゼントになったことでしょう。会場-papparayray の空気感、そしてギジェルモと聴衆の一体感が彼にこの曲を唄わせたのだと思います。ギジェルモは終演後に「今夜は聴衆との距離感がとても密接だった。」と語ってくれました。

2回のアンコールを含む演奏は 2時間におよび、ギジェルモのギター、梅雨、雨音、あじさい、古民家、満員の聴衆の熱気といろいろなシーンが重なり、すべての方にとっていつまでも記憶に残る濃密な夜になったことでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA あいにくの天候の中、お越しいただいた皆様へ深く感謝します。会場が超満員となり、窮屈な思いをされた方がいらっしゃたかもしれません。お詫び申し上げます。東京、大阪、奈良、熊本など、遠方からもご来場いただき、ありがとうございました。

公演後「とてもいい音で、PAを通しているように感じなかった」という声を多数いただきました。それは、papparayray という器が持つ響きの特性と、サウンド・エンジニア、江島正剛氏がもつ深いこだわり「できるだけ生音に近く、PAを通していると意識させない音造り」により可能となりました。会場を快くご提供いただいた山西さん、中田さん、そしてサウンド・エンジニアの江島さんに深く感謝します。

本公演をを実現いただいた インパートメント、稲葉晶太さんへ深く感謝します。ベト・カレッティ、カルロス・アギーレ & キケ・シネシに続き、ギジェルモ・リソットと、上質な南米音楽を福岡にご紹介いただき、ありがとうございます。

ギジェルモの才能に魅了され、日本に初めて紹介され、今回の日本ツアー実現に尽力され九州へも帯同された、姫路 HUMMMOCK Cafe、中村信彦さん、真理子さんご夫妻、ありがとうございました。みなさんが神戸や姫路の近くに行かれた際は、HUMMMOCK Cafe を訪れ、料理、珈琲、音楽へのピュアで深いお二人の愛が満ちた世界にぜひ触れてみてください。

お手伝い、サポートいただいた、afterglow 河津ご夫妻、梅田さん、いつもありがとうございます。

最後に、美しいソロ・ギターを福岡に届けてくれたギジェルモに深く感謝します。ギジェルモは、まだ 33歳。これからの展開と活躍がとても楽しみ。そしてまたいつか福岡に来てくれることを願っています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ギジェルモ・リソット ジャパン・ツアー 2013 「ソロ・ギターラ」
福岡公演
公演日 : 2013年 6月 1日 (土)
会場 : papparayray – パッパライライ

ツアー・コーディネーター :  Inpartmaint Inc. – 稲葉晶太
サウンド・エンジニア :  ジャバラ倶楽部 – 江島正剛
協力 :  HUMMOCK Cafe – 中村信彦、中村真理子

ギジェルモ・リソット・オフィシャル・サイト :  http://www.guillermorizzotto.com.ar/

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Guillermo Rizzotto – ギジェルモ・リソット
1980年生まれ、アルゼンチン・サンタフェ州ロサリオ出身、ギタリスト、作曲家、編曲家、プロデューサー。12歳でギターを始め、19歳で地元のロサリオ音楽学校を卒業し、プロとして活動を始める。2006年に、10年以上の書きためた作品から吟味した初のオリジナル・ソロ・アルバム『Solo guitarra』を発表。その後スペイン、バルセロナへ移住し、自身のレーベル「Olga Records」を主宰。歌手デビッド・デ・グレゴリオとの共作『Brillo』(08年)、フルート奏者パブロ・ヒメネスとの共作『El paso del tiempo』(09年)、『La otra orilla』(12年)を発表。アルゼンチンのギタリストを代表する重鎮フアン・ファルーとも共演を果たし、賞賛されるなど、その実力は広く認知されている。
日本では、長らく入手困難だった『ソロ・ギターラ』が2012年春に国内盤としてリリース。南米音楽〜フォルクローレのリスナーはもとより、クラシック・ギターのファンにまで幅広く支持され、異例のロングセラーを記録し一躍注目の存在となった。
2013年4月18日、待望の新作『情景の記憶〜ソロ・ギターラ II』がリリースされるのに併せ、5月〜6月には待望の初来日ツアーの開催が決定。さらなる飛躍が期待される、注目のギタリスト。

(All photographs by Nobuhiko Nakamura, Hummock cafe)